愛を読むひと

「愛を読むひと」を観ました。

愛を読むひと – Yahoo!映画

1.はじめに

みなさんは忘れられない人がいますか?

わたしはいますよ。

三沢光晴、橋本真也、テリー・ゴディ・・・

やはり早くして亡くなったプロレスラーは、心に残っています。

今回は、15才の恋に縛られた男の物語゛愛を読むひと゛です。

2.あらすじ(妄想スパイス入り)

マイケル・バーグは学校が終わり、電車で家に帰ります。

しかし、どんどん体調が悪くなります。

酔ってしまったのか、気分がよくありません。

マイケルは、胸に込み上げてくる熱いものを感じます。

それは、夢や希望でもなく、友情、努力、勝利でもありません。

これを電車でぶちまけたら、大惨事になります。

慌てて電車から降ります。

そして、口に溜まったそれを吹き出します。

「プー!!」

空中に緑の霧がきらめきます。

ここに、グレートムタにも負けない毒霧が完成したのです。

のどに日本指をあてて、ポーズを決めるマイケルでした。

3.感想

何とも悲しい物語でした。

マイケル・バーグとハンナ・シュミッツの物語です。

1958年 西ドイツ ノイシュタット

マイケルはハンナと出会い、恋に落ちます。

マイケルは15才。

ハンナに本を朗読して聞かせ、セックスをするという儀式を繰り返します。

マイケルは背伸びをしています。

普段は着なれない服を着ているのか、上着を下からたくしあげて脱ごうとするのです。

まあ、かわいいこと。

しかし、この2人は生活状況が違います。

マイケルはお坊ちゃんです。

ハンナは、部屋を見る限り、あまり裕福な生活をしていません。

マイケルにとっては、年上のお姉さんに自分の知らない世界を教えてもらって、舞い上がったのかもしれません。

しかし、この恋もひと夏で終わります。

急にハンナが部屋を引き払い、いなくなってしまったのです。

ハンナは文盲でした。

そして、その事をものすごく恥じていました。

列車の車掌から事務職に昇進した彼女は、文盲がバレることを恐れ、街を去ったのでしょう。

1966年

ハイデルベルグ大学の法科生になったマイケルは、授業で裁判の傍聴に行きます。

ナチ親衛隊の収容所の看守だった6人の裁判です。

その1人が、なんとハンナでした。

当時、収容所にはどんどんユダヤ人が送られてきました。

収容する人数には限界があります。

そのため、月末には10人選び、アウシュヴィッツに送っていました。

それは、すなわち死を意味するのです。

ハンナが判事に言った「あなたならどうするの?」という言葉。

考えさせられました。

そして、『死の行進』で事件が起こりました。

ユダヤ人達が夜を過ごしていた教会を爆撃されたのです。

爆撃されるとは思いもしなかったハンナ達は、教会の扉を施錠していました。

そのため、ユダヤ人300人が逃げられず、焼死したのです。

この収容所の生き残りに母子がいました。

娘のマーサは、ハンナの事を覚えていました。

若い娘のお気に入りがいて、本を読ませていたこと。

彼女は知的で人間味があったこと。

親切で、病人や弱った囚人を選び、彼らを守ってるように思えたこと。

でも、アウシュビッツ行きだったこと。

マーサの何とも複雑な心境が表れています。

マイケルは、自分と出会う前の彼女を知ることになりました。

この裁判で、ハンナは他の看守5人に責任者にされ、罪をなすりつけられます。

6人で作った書類もハンナが作ったことにされます。

否定するハンナ。

そして、筆跡を見ればわかると、字を書くように迫られます。

しかし、ハンナは字を書く事を拒否して罪を被ります。

それほど恥ずかしい事だったのでしょう。

マイケルは、ハンナが文盲だと気付きます。

そして、彼女との面会を申し込むのですが、会わずに帰ります。

やはり、彼女にとって文盲という事実は重いもので、マイケルは説得をする事ができないと感じたのでしょう。

結局、ハンナは300件の殺人罪で無期懲役になります。

1976年 西ドイツ ノイシュタット

マイケルは、弁護士になりました。

そして、離婚をすることになります。

また、娘がいます。

マイケルは部屋を片付けている時に、オデュッセイアを見つけます。

それは、ハンナに朗読をしていた本でした。

おもむろに、マイケルはカセットデッキとテープを取り出し、オデュッセイアの朗読を録音し始めるのです。

そして、そのテープを刑務所にいるハンナに送るのです。

マイケルの心には、ハンナがずっといたのでしょう。

離婚をしたことで、その気持ちも溢れだしたのかもしれません。

テープを受け取ったハンナは、マイケルの朗読を聞き続けるのです。

荷物を受け取るときのハンナのサインが気になりました。

あれは見よう見まねです。

サインっぽく見せる記号です。

そして、マイケルのテープにはきちんと工夫がしてありました。

きちんと背表紙に赤丸で順番をつけているのです。

1番目には丸1つ、2番目には丸2つと。

思いやりですね。

テープを聴きながら、ハンナは独学で文字の勉強を始めるのです。

1980年 西ベルリン

マイケルの元に、ハンナから「テープをありがとう坊や」と書かれた手紙が届きます。

マイケルは、うろたえます。

ハンナは、サインが書けるようになっています。

書き順はめちゃくちゃです。

やはり独学だからでしょう。

しかし、すごい努力だと思います。

マイケルと交流を持ちたいのでしょう。

「返事をちょうだい」と手紙を送ります。

しかし、マイケルは返事を返さないのです。

ハンナからの手紙で一杯の引き出しを、苛立ちながら閉めるマイケル。

彼がハンナと恋人だったのは、15才のひと夏でした。

幼いマイケルは、朗読とセックスでしか愛情表現ができなかったのです。

今、マイケルがハンナにしてあげられる愛情表現は、朗読だけです。

手紙のやり取りではないのです。

マイケルは、ハンナには朗読でしか愛情が伝えられないのです。

1988年 西ベルリン

ハンナが釈放されることになります。

20年以上収監されていました。

マイケルに、彼女を引き取ってもらえないかと連絡があります。

彼女は身寄りがないため、繋がりはテープを送っていたマイケルしかいないのです。

マイケルは悩みます。

そして、面会に行くのです。

ハンナは、以前はきちんとしていたのに、この数年、全てに構わなくなってしまったそうです。

マイケルの返事がないことに、思い悩んだのかもしれません。

マイケルとハンナは再会します。

「過去の事を考える?」

「裁判の前は全然考えなかった。必要がなかった。」

「どう感じてる?」

「どう感じようと、どう考えようとも、死者は生き返らない」

「じゃ、学んだものは?」

「学んだわよ坊や、字を読むことを」

ハンナの世界は、裁判の時点で止まっていました。

そして、マイケルの朗読は、彼女の心には届いていませんでした。

翌週、迎えに来るとハンナに伝えて、マイケルは帰ります。

やっぱり放っておけなかったのです。

その夜、ハンナは自殺をします。

彼女もマイケルと話をして、生きてきた世界が違いすぎたと思いしったのかもしれません。

そして、このまま釈放されてマイケルの世話になったとしても、彼女の惨めさだけが募っていくと考えたのでしょう。

ハンナは遺言を残していました。

火事で生き残ったマーサに、缶の中のお金と銀行にある7000マルクを渡してほしい。

そして、マイケルに「よろしく」と。

マイケルはマーサに会いに行きます。

お金は、識字率をあげる活動をしているユダヤ系の団体に寄付することになります。

ハンナの名義でです。

マーサはお金の入っていた缶を受けとりました。

お金の入っていた缶は、元々マーサの持ち物だったのです。

昔、収容所で盗まれたのでした。

マーサの缶を盗んだのはハンナでした。

ハンナが缶からペンを取り出すときに、マーサの言っていた宝物が出てきましたから。

1995年1月

マイケルは、娘とハンナの墓参りに行きます。

オープニングで、マイケルは娘に「誰とも打ち解けない」事を謝っていました。

ハンナの事を知られるのを恐れ、無意識に距離を置いていたのかもしれません。

ハンナの死から7年が経ちました。

マイケルは、娘にハンナの話をするのです。

やっと心の整理がついたのですね。

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