誰でもない女

「誰でもない女」を観ました。

誰でもない女 – Yahoo!映画

1.はじめに

みなさんは『母をたずねて三千里』をご存じですか?

はるか~そぉ~げんを~♪

っていうやつです。

少年マルコが母を捜して旅に出るストーリーです。

マルコは、子猿のアメディオを肩に乗せているのですが、肩が傷だらけにならないか、いつもハラハラしながら観ていました。

ハラハラするところが違う?

今回は、母をたずねて三千里の悲しい物語“誰でもない女”です。

2.あらすじ(妄想スパイス入り)

空港に1人の女性が降り立ちます。

入国審査でパスポートの写真を確認する空港職員。

サングラスを外し、顔を見せる女性。

「どうも」

入国許可のハンコを押されたパスポートをもらい、女性は歩き出します。

彼女は、そのままトイレに向かいます。

そして、個室に入るなり、着替えを始めます。

化粧を落とし、男物の服に着替える彼女。

そして、立派な男の姿になります。

人がいないのを確認してトイレから飛び出します。

そして、空港から足早に出ていきます。

こうして、小梅太夫は1人の男に戻り、雑踏の中に消えていくのでした。

3.感想

悲しい映画でした。

ちょっとストーリーを整理します。

1990年11月 ドイツ

カトリネ・ミャルダルは、夫ビヒャルテと娘アンネ、孫トゥリド、母オーゼ・エヴンセンと生活をしていました。

そこに、スヴェンというドイツ人の弁護士が訪れます。

彼の法律事務所が、過去にドイツにあった゛生命の泉゛という施設について国に賠償を求める裁判を起こすので、証人として協力を求めてきたのです。

ナチス占領下のノルウェイでは、ドイツ兵と地元女性が肉体関係を持ちました。

彼女たちはヨーロッパ全域で、ドイツの売春婦と呼ばれ、迫害されたのです。

戦後、彼女たちは収容所に送られます。

当時、生まれた金髪碧眼の子供を、ナチスは珍重しました。

堕胎を防ぐため、ナチスは生命の泉を介して、各地に出産育児の福祉施設まで建てたのです。

生まれた子は、民族浄化のためドイツに送られます。

この子供たちは、戦後、恥ずべき子供と呼ばれ忌み嫌われました。

長い間母親にも会えず、そのまま亡くなった者も少なくないそうです。

この事件について、訴訟を起こすというのです。

なぜ、カトリネに協力を求めたのかというと、彼女は施設から脱走をし、デンマークに亡命をして、母オーゼと再会したという過去があるからです。

彼女は、証人を断ります。

しかし、娘の説得もあり、オーゼと共に証言をする決意をします。

当日、証言をするカトリネでしたが、スヴェンの犯罪者扱いに腹を立て、証人を辞めると伝えるのです。

後日、スヴェンはアンネに一本のビデオを渡します。

そのビデオには、カトリネが亡命をした時のニュース映像が入っていました。

しかし、そこに映るカトリネは、全くの別人だったのです。

ビヒャルテやアンネと生活をしていたカトリネは、本名ヴェラ・フリュンドという東ドイツの外国諜報機関のスパイでした。

彼女は両親を爆撃で亡くし、養護施設にいるときに、スパイにスカウトされたのです。

そして、カトリネの脱走事件が起こります。

ヴェラは、行方不明になったカトリネに成りすまし、オーゼの元に行くのです。

そして、軍に潜入して、機密活動を行います。

そこで、海軍士官だったビヒャルテと出会うのです。

ある日、亡命を成功させたカトリネがオーゼを捜して、家を訪ねてきます。

事前に情報を仕入れていたヴェラは、オーゼをスタルハイムに旅行に行かせて、家で待っていました。

そして、親戚と偽り、話をするのです。

ヴェラは、彼女が許せませんでした。

せっかく手に入れた家族の愛情を壊されると考えていたのです。

そして、尋問を行います。

ヴェラは、カトリネは本国に強制送還になると思っていました。

しかし、彼女の眼を見て、欺けないと思いました。

ヴェラは、カトリネに成りすまして生活をしていたので、彼女の苦労がわかり、同情をしたのでしょう。

尋問後、ヴェラの上司のフーゴ達が入ってきます。

ヴェラは、カトリネを逃がそうとします。

しかし、山中でカトリネは射殺されてしまいます。

これは、「死の谷事件」として迷宮入りになりました。

そして、ヴェラはカトリネとして、今まで生きて来たのです。

今回、スヴェンから裁判の話が来たときには、彼より先回りをして、証拠隠滅をしていました。

それは、自分の過去と正体が知られる恐れがあったからです。

しかし、証人として発言をしてしまいました。

それにより、フーゴ達から裏切り者と言われ、家族にも危険がおよぶ恐れが出てきます。

フーゴは、ヴェラをキューバへ無期限で行かせる命令をします。

これは、ノルウェイにいる家族達を捨て、キューバで一生を暮らせという制裁です。

ヴェラは、フーゴと空港へ行き、別れます。

そして、搭乗寸前で引き返し、家へ帰るのです。

彼女はオーゼに、カトリネに起こった事をすべて打ち明けます。

そして、警察に保護要請を求めるため自首をすると家族に告げ、家を出ます。

警察へ向かう途中、車のブレーキが効きません。

そして、事故を起こし、ヴェラは亡くなるのです。

以上がストーリーです。

ヴェラもカトリネも時代に翻弄されたとしか言えません。

2人とも家族の愛情が欲しかったのですね。

ヴェラは、せっかく手に入れた家族を手放したくありませんでした。

カトリネは、母親に会いたくて、亡命までしました。

何ともやりきれません。

そして、オーゼです。

彼女は一気に2人の娘を失いました。

彼女もまた、時代に壮絶に翻弄された人です。

ああ、やるせない。

ビヒャルテの「何が真実だ?」の問いに「共に生きた日々」と答えたヴェラ。

彼女は、カトリネとして生きていましたが、家族への愛情は本当だったのでしょうね。

最後まで家族と一緒に過ごせる道を探していたのですから。

そして、スヴェンです。

彼の訴訟の動機がわからないのです。

ただの功名心だったのでしょうか?

それとも正義感?

結局、彼のやった事って、1つの家族を壊しただけのような気がします。

わたしは、こういうタイプの正義感を持つ人が苦手なので、引いてしまいました。

この映画のような話が本当にあったのかどうか、わたしにはわかりません。

しかし、似たような話は、戦時中にはあちこちであったのでしょうね。

やるせない気持ちだけが残りました。

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