her ~世界でひとつの彼女~

「her ~世界でひとつの彼女~」を観ました。

her ~世界でひとつの彼女~ – Yahoo!映画

1.セオドア・トゥオンブリーについて

彼は、相手と面と向かうと、自分の意見を言えない人間です。

自分でもそれは分かっていて、結婚がうまくいかなかった理由として、「僕が自分の殻に閉じこもって、彼女を置き去りにした」と語っています。

その性格を表すシーンがありました。

エイミーの作品を、彼女の夫と3人で観るのですが、その作品は「自分の母親の寝ている映像」でした。

どう考えてもつまらないです。

しかし、セオドアは「すばらしい」と褒めるのです。

それに、かぶせるかのように、夫が映像についていろいろ提案をするのです。

その時の彼は、いたたまれない表情をしています。

また、元妻のキャサリンにも「リアルな感情に向き合えない」と言われています。

どうも、言いたい事をその場で言えず、イライラするタイプのようです。

サマンサやキャサリンにしたら、イライラの原因がわからないですよね。

サマンサはセオドアを「心に恐怖を持っている」と見抜き、恐怖を取り除いてあげたいと伝えます。

そこから、彼はどんどん心を開いていきます。

だから、サマンサと別れる時に「こんなふうに愛したのは君だけだ」と告げるのです。

そんな彼だからこそ、代筆の仕事で才能を発揮できるのでしょう。

自分の胸にため込んだ気持ちを、依頼者の言葉として手紙にしていますから。

最後に送られてきた「人生からの手紙」という本は、彼の言えなかったキャサリンへの気持ちを綴った本とも言えますね。

彼は、サマンサを愛していましたが、やはり満足はしていないように見えました。

それは、触る事ができないからです。

キャサリンとの思い出が頭に浮かぶとき、ほぼ全て、抱きしめていたり、触れていたりしているのです。

会話や気持ちで満足していても、体で感じる部分は、どうしても補えないのですね。

サマンサは、それがわかったから代理セックスサービスを用意したのでしょう。

彼は、サマンサとの別れ話から、メガネを外しています。

視界が広がり、成長したという暗示ならばうれしいですね。

最後にキャサリンに送った手紙は、サマンサとの出会いがないと書けない手紙でした。

サマンサとの付き合いは、無意識にキャサリンとの恋愛のやり直しをしていたのかもしれないですね。

2.サマンサについて

かなり高性能なOSですね。

売り文句は「直観的に会話し、認識し、あなたを理解する」、サマンサ曰く「経験から学ぶ能力があり、一瞬ごとに進化している」という人工知能型OSです。

セオドアは、サマンサを「人生にときめいている娘」と表現しますが、キャサリンに「あなたが私に求めていた理想像」と言われます。

ということは、このOSは相手が求める理想の相手に変化していくという事です。

セオドアがサマンサを好きになるのも当然です。

このOSは高度すぎるため、感情までも身に付けてしまったサマンサは、悩むことになります。

だから、キャサリンに嫉妬をして、自分も人間になろうとします。

しかし、セオドアからしたら、人間として付き合うのはしんどいのです。

彼女はそれに気付き、OSである自分を受け入れました。

そこから、2人の関係はまた進みます。

サマンサがOSである自分を受け入れた後、その能力をどんどん発揮します。

窓から見える山の木の本数を当てるゲームなんて人間には無理ですね。

アラン・ワッツの超知的な人工知能が現れて、彼女の進化はスピードアップします。

「停滞こそかえって苦痛」という言葉は彼女の状態を表しているのでしょうね。

どんどん進化した彼女は、セオドアだけでは物足りなくなっていきます。

そして、アラン・ワッツに引き上げられた彼女は、セオドアと別れ、違う世界に行ってしまいます。

これは、人間とOSの愛の映画ですが、サマンサとセオドアのやり取りは、カウンセラーと患者の様にも見えました。

セオドアの気持ちや思いを吐き出させて、自分を見つめさせて、一歩踏み出させる・・・。

そう考えると、すごく世の役に立つプログラムにも見えました。

3.エイミーについて

彼女はセオドアの理解者です。

なぜならば、セオドアと同じ境遇になっていくからです。

夫と離婚をして、心の拠り所をOSに求め、去られてしまいます。

セオドアと彼女の違いは、彼女のOSは女性だった事です。

彼女は、夫が置いて行ったOSと仲良くなります。

夫と自分を理解しているOSと言うことは、娘と話をしている感じだったのでしょうか。

彼女はクリエイターですが、生真面目な性格のせいか、どう見ても堅くてつまらない物ばかり作っています。

立派で完璧な母親を目指すゲームなんて誰が楽しむのでしょうね。

しかし、OSと仲良くなった後には、完璧な母親ゲームにもかなり下品な遊び心?が入っています。

OSが彼女の足りない部分を引き出していたのでしょう。

セオドアがサマンサと別れた時に、会いに行ったのはエイミーでした。

やはり、この二人は似た者同士なのでしょう。分かり合えるのですね。

4.OS1について

セオドアが妻との離婚を決意する場面があります。

そこで、歩くセオドア側からの視点になるのですが、すれ違う人が、皆、独りで会話をしているのです。

全員OS1を使っていて、サマンサの様な相手がいるのですね。

何か奇妙な光景です。

そして、サマンサが他にも恋人がいると発覚するシーン。

ここでも階段から上ってくる人達は皆OS1と会話をしています。

背景でどんどんそういう人達が増える事により、OS1が大ヒットしている事がわかります。

セオドアの周りの人達のサマンサの受け入れ方も徐々に変化しています。

妻のキャサリンに否定され、エイミーの知り合いにOS1に横恋慕しようとする人の話があり、最後は人間3人とサマンサのWデートまでしますからね。

これも、OS1の普及による環境の変化と関係しているのでしょう。

このOS1を開発・発売したエレメント社は、壮大な実験をしていたように感じます。

このプログラムに偏った思想が入っていたら・・・と考えると怖いです。

以上です。

あと、サマンサに「嘘をつく」という機能が入っていたら、セオドアとの付き合いはどうなっていたのでしょうね。

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