「アイアムアヒーロー」を観ました。
みなさんは恋人がゾンビになってしまったらどうしますか?
わたしは、愛で恋人の心を癒し、ゾンビから復活させてあげます。
「なぜそんな事ができるのか?」ですって?
それが、わたしにはできるんですよ。
なぜならば、恋人はわたしの妄想の世界にいるのですから・・・。
なんでも思い通り。
どうです?
狂っているでしょう?
大丈夫。
自覚はあります。
今回は、恋人がゾンビになり、いきなり襲われた男の物語“アイアムアヒーロー”です。
漫画家アシスタントとしてパッとしない日々を送る、35歳の鈴木英雄。
そんな彼の恋人が、人間を凶暴に変貌させるウィルスに感染して襲い掛かってくる。
慌てて木製のハンガーを手に外に飛び出す英雄だが、街はZQNと呼ばれる感染者であふれていた。
パニックの街でハンガーを手に立ち尽くす英雄。
そして、彼はあの技をくり出す決心をする。
その技とは、『刑事物語』で武田鉄矢が使っていたハンガーヌンチャク。
英雄はハンガーをくるくる回して、ZQN達をなぎ倒していくのだった。
人気マンガの実写映画化です。
ハラハラドキドキですよねぇ。
マンガの実写化は成功することがほぼないから。
そして、この「アイアムアヒーロー」です。
1巻でも衝撃のあるてっこ(黒川徹子)の感染シーン。
この作品でも描かれます。
新聞受けから部屋を覗く鈴木英雄。
ベッドに寝ているてっこ。
そこから上半身を起こし、ヤバイ角度でベッドから落ちます。
そこから言葉では表現できない動きで、英雄を襲うのです。
それを観た瞬間「キタこれー!!」
ガッツポーズでした。
この作品ではゾンビはZQNと呼ばれます。
定義としては、ウィルスで人格崩壊を起こして、肉体異常をおこした感染者。
このZQNの描き方がふっ切れている!!
ゾンビ映画はグロさを描く事に腰が引けたら終わり。
その「腰が引けてないぞ!!」という覚悟が、てっこのシーンで伝わってきたのです。
そして、三谷の狂気のシーン。
塚地武雅がうまい。
さらにわたしはガッツポーズ!!
そこからはZQN祭!!!
ZQNの世界に引き込まれて、ジェットコースターのようにぐるんぐるん揺さぶられるのです。
これは、やられました。
さて、この作品は鈴木英雄が『理想の自分』を手に入れていく物語です。
名前は『英雄(ひでお)』なのに『英雄(えいゆう)』ではない自分。
彼は、自己紹介でも「えいゆうと書いてひでお」とわざわざ言います。
自分に自信が無いんですね。
そんな彼がZQNパニックに巻き込まれていきます。
いつまでも普通で、切羽詰まった状況でも法律を気にして、大胆な事ができない自分を責め続けます。
しかし、この鈴木英雄。
端から見ていると、ものすごくいい奴なんですよ。
優しいんですよね。
そして、切羽詰まった状況でも、その心を捨てずにいられるというのがどれだけすごい事か。
英雄は気付いていないのです。
サンゴのように銃を手に入れた瞬間、豹変して横暴になったり。
伊浦のように自分の帝国を作り、それを奪われた瞬間、皆殺しにしようとしたり。
極限の状況では、みんな心が荒んでいくものなのです。
しかし、英雄は優しさを忘れない普通の男です。
そんな彼の良さをわかっていたのは、比呂美とヤブ(小田つぐみ)でした。
英雄は散弾銃を持っていました。
物語の焦点は、彼がいつ引き金をひくのか。
これで後半まで持っていかれます。
英雄は、ヤブに助けを求められ、彼女と比呂美を助けに行きます。
弱い自分を奮い立たせ、人を助けに行く。
これぞヒーロー!!
英雄(ひでお)は英雄(えいゆう)になるのです。
そして、ずっと撃てずにいた銃を構え、2人を助けるために初めて引き金を引くのです。
ラスト、英雄はヤブに自己紹介をします。
「鈴木英雄。ただの英雄です」
異常な世界では普通でいることが難しい。
普通である自分を受け入れた英雄(ひでお)。
その普通でいる姿が英雄(えいゆう)だったのです。
最後に中田コロリ先生のマンガ。
どこかで見たことあるなぁと思ったら、浅野いにお先生の提供だったんだ。
花沢健吾先生と仲が良いですからね。
このちょっとした遊びにニヤニヤしてしまいました。