砂の栄冠

「砂の栄冠」を読みました。

砂の栄冠 – ヤングマガジン公式サイト

1.感想(ネタバレなし)

高校野球ものです。

ただ、普通の高校野球マンガとは違います。

戦い方が違うのです。

今までの高校野球マンガは、強いライバルをどう倒すか?

どのように点を取り、どうやって相手を封じるか?

このような描き方が多かったかと思います。

しかし、主役の樫野高校野球部エース七嶋裕之は違います。

高校野球の試合は観客が作る。

七嶋は、甲子園のムードを支配する事を1番に考えて、試合を組み立てるのです。

樫野高校は、真面目な生徒を演出します。

あいさつは「しゃす」「した」ではなく、「お願いします」「ありがとうございました」とハッキリ言う。

守備につくときは全力疾走。

眉毛は太眉。

これらを徹底して、観客を味方につけ、戦っていくのです。

作者の三田紀房さんの過去の作品に「クロカン」「甲子園へ行こう!」という傑作がありました。

こちらも高校野球を似たようなアプローチで描いていました。

「クロカン」では、監督の黒木竜次が試合の雰囲気作りに気をつけていました。

「甲子園へ行こう!」では、エースである四ノ宮純が、相手に対して自分をどのように大きくみせるかを考えてプレイしていました。

「砂の栄冠」の七嶋は、黒木と四ノ宮を合わせたようなキャラクターです。

試合の雰囲気を作りながら、エースである自分を演出していきます。

そして、どうやったら公立弱小である樫野高校野球部を甲子園に連れて行けるのか?と考えます。

試行錯誤をしながら甲子園を目指す七嶋。

果たしてその結末は?

まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみてください。

2.感想(ネタバレ)

三田紀房さんの高校野球へのアプローチの仕方が、相変わらずおもしろいです。

今回の「砂の栄冠」では、高校野球の様々な問題点を浮き彫りにして描いています。

優秀な選手をかき集める私立高校。

勉強をおろそかにして、野球だけに取り組む選手。

知名度アップのために、甲子園出場という肩書きを追い求める監督。

ヒーローを作り上げ、売り上げアップを狙うマスコミ。

様々な人々の思惑が入り混じる甲子園は、確かに魔物が住んでいるのかもしれませんね。

そして、この作品にはたくさんのヒールが出てきます。

何といっても最高のヒールは、ガーソ(曽我部公俊)でしょう。

樫野高校OB会と迷ったのですが、野球部に対する実害で判定はガーソになりました。

いやぁ、強烈な男です。

そして、何より思ったのは「こんな人いる!!」って事です。

読んだ方は、誰かの顔が浮かんだのでは?

彼がひっかきまわしてくれたので、物語がおもしろくなりました。

また、この作品には、いろいろな野球部が出てきます。

わたしが1番好きだったのは下五島高校野球部。

スターのいないチームの理想を実現したかのような野球部です。

守備を徹底的に鍛え上げられたチーム。

先制点を取り、あとは守りきり、逃げ切る野球を繰り広げます。

そして、何といっても監督のノックマン(山田一男)です。

下五島高校野球部を甲子園まで引っ張ってきました。

彼が指導した野球は、弱いチームが名門と対等に戦っていくためのノウハウが詰まっています。

さらに素晴らしいのは、選手の今後も考えているところです。

高校野球で無理をさせ、選手生命を終わらす監督もいる現実。

ノックマンは、高校卒業後の人生の方が長い事をわかっており、下五島の選手に無理をさせない様にしています。

指導者として完璧です。

わたしがスポーツ万能で高校生なら、ぜひこの人についていきたい!!

それだけに、七嶋というスター1人に打ち砕かれるという結末は、悲しかったです。

三田紀房作品の見処は、例えを実際に絵にするところです。

これが笑ってしまう!!

ノックマンの神ノックや、大月翔馬の救世主降臨は最高でした。

また17巻の表紙も笑えます。

このバカバカしいところがありながらも、試合の行方が気になり、グイグイ読ませるのは、三田さんの力なのでしょうね。

最後は、七嶋裕之 VS 大月翔馬になりました。

野球が好きではなかった七嶋。

野球が好きでたまらない大月。

今だけを見つめている七嶋。

未来を見つめている大月。

この2人の勝負です。

七嶋は、頭を使って野球をやってきました。

大月は、その恵まれた素質で野球をやってきました。

2人の初対決となった練習試合。

七嶋は常に頭で考え、天然の大月は頭空っぽで戦いました。

「カレー食べたい」と考えていましたが。

とりあえず、余裕がある大月の方が立場は上だったのです。

それが、センバツ準決勝の延長13回。

立場が入れ代わりました。

大月が頭で考え、七嶋は頭空っぽになったのです。

七嶋が頭を空っぽにして余裕ができたのは、チームメイトと甲子園への感謝の気持ちからでした。

甲子園が七嶋に求めていたものは「すべてに感謝する」という気持ちだったのですね。

七嶋がすべてに感謝をした時に、甲子園は彼を許したのですね。

そして、勝利へと繋がったのです。

わたしも周りに感謝をしなければ。

きのこの山ありがとう!!

たけのこの里もありがとう!!

おいしいよ!!

しあわせだよ!!

よし・・・これでわたしも甲子園でスターになれるかな?

グヘヘヘヘヘ!!

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