「博士と彼女のセオリー」を観ました。
みなさんは“学生結婚”にどんなイメージがありますか?
素敵だなと思いますか?
そんなに急がなくてもいいのに・・・と思いますか?
わたしは、都市伝説だと思っています。
今回は、学生結婚をした偉大な博士の物語“博士と彼女のセオリー”です。
パーティーに友達と来たジェーンは、会場に入ってびっくりします。
「なんてメガネ率の高さ・・・」
そう、パーティーに来ている男子たちは、ほとんどメガネなのです。
「科学者の集団なのね・・・」
そこに、黒縁メガネのナイスガイと目が合います。
「ねえ、あの人誰?」
ジェーンは友達にたずねます。
「ああ、彼ね。頭が良いけど、変り者よ。私は友達のところへ行ってくるわ」
友達が離れ、1人になったジェーン。
その瞬間、黒縁メガネがキラーンと光ります。
ロックオンされた彼女。
黒縁メガネが人ごみをすり抜け、近づいてきます。
ジェーンの頭の中にはジョーズのBGMが流れます。
「なになになに・・・」
ジェーンは隠れます。
しかし、すでにロックオンされている彼女。
頭脳は大人、身体は子供のあの名探偵のメガネのように、何か特殊な機能がついているのでしょうか。
まっすぐジェーンの前にやってきました。
「毎朝、俺に味噌汁を作ってくれ!!」
彼は、スティーヴン・ホーキング。
後のホーキング博士でした。
わたしはホーキング博士の事は名前くらいしか知りませんでした。
無知ですみません。
今作を観て、すごい人なんだなと、ただただびっくりです。
妻のジェーン・ワイルド・ホーキングの本がベースになっているのですね。
だから、ホーキング博士よりもジェーンの視点からの作りになっていたんだ。
運動ニューロン疾患にかかってしまうホーキング博士の宿命って何なんでしょうね?
あれだけの頭脳があり、自分の宇宙理論を発表したいのに、それを伝えられないというのは悔しくて仕方ないと思います。
病気がわかった当時、今のようなコンピューターの発達もなかったわけですし、余命2年と言われたのですから。
学生時代のホーキング博士は、会話が知的でおしゃれですね。
「教会の信者になる気は?」
と聞かれ、
「“神は天の支配者”という前提がイヤだ」
と返したり、
「宇宙論者は何を信じてるの?」
には
「宇宙のすべてを説明するたった1つの方程式」
と返すのですよ。
ああ、かっこいい・・・。
わたしも知的でおしゃれなことが言える大人になりたいです。
多分、ホーキング博士には確固たる自分の世界があるからこういう返答ができ、その世界を理解して、さらにぶち壊してくれるジェーンに魅かれたのでしょうね。
舞踏会のシーンはよかったですね。
星の誕生と死には紫外線が放射されるそうです。
もし、紫外線のみで空を見たら・・・という話をしている時に花火が上がるのです。
花火の様に見える、それが答えなのでしょうね。
そして、ジェーンです。
彼女は、すごいですね。
夫を介助しながら、子供を3人育てるなんて・・・並大抵ではないですよ。
しかも、彼女も詩の研究をしたかったわけですし。
そりゃあ助けが必要ですよね。
聖歌隊で出会ったジョナサンに魅かれてしまったのも、仕方ないのかなと思ってしまいます。
彼女は、体が不自由になってきていたホーキング博士と学生結婚をして、ずっと介助と子育てをしてきました。
そこに、ジョナサンが現れ、自分の手伝いをしてくれ、子供と自由に遊ぶ姿を見せられたら、憧れを持ってしまうでしょう。
なんか、浮気の疑惑をもたれた彼女をあまり責める事ができないわたしがいます。
ホーキング博士が講演で、落ちた赤いボールペンを拾う想像をする場面があります。
彼も、体を自由に動かせればという気持ちがずっとあるのでしょう。
そして、何といっても主演2人の素晴らしさが光っていました。
スティーヴン・ホーキング 役のエディ・レッドメインは、画面に出てきた瞬間、「あ!ホーキング博士だ」というくらい雰囲気が出ていました。
そして、徐々に体が動かなくなっていく描写、そして、最後は表情での演技、大変だったと思います。
しかも、見事にやりとげてる・・・素晴らしいですね。
ジェーン・ワイルド・ホーキング役のフェリシティ・ジョーンズ。
彼女のシーンで、とても印象に残っている場面があります。
それは、声を失ったホーキング博士に、文字ボードでコミュニケーションを取ろうとする場面です。
彼女の決断で、ホーキング博士は声を失いました。
文字ボードを見せて、コミュニケーションを取ろうとしても、悲しそうな表情で見つめるだけ。
その時のジェーンの表情が、自分の判断は正しかったのか、これで良かったのかという感情が伝わるのです。
すごい女優さんですね。
この2人を主演にした事でこの映画は成功でしょう。
そして、ラストの「見ろよ 我々が創り上げたものを」で、KOされたわたしでした。