暗殺教室

「暗殺教室」を読みました。

暗殺教室 – 集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト

感想(ネタバレなし)

先生を生徒たちが暗殺するというストーリー。

しかも先生は地球を破壊する可能性のある超生物『殺せんせー』

生徒たちは進学校の落ちこぼれクラス。

この殺伐とした物語は、愛に満ちたものに変わっていきます。

泣いた・・・。

何か『あまロス』ならぬ『殺ロス』になってしまいました。

わたしはどれだけ殺せんせーに思い入れを持っていたんだろう。

彼にはとても親しみがわくのです。

地球を滅ぼすほどの力があるのに。

超生物なのに人間くさい弱点が多いし。

エロいし。

でも、好きになるんですよね。

なぜならば、28人の生徒たちの事をよく見ており、考えているのがわかるからです。

そして、殺せんせーが担任をする個性豊かな生徒たち。

わたしは、28人ものキャラクターを覚えきれないなと思っていました。

しかし、読み進めていくと、全員のキャラがわかるようになるのです。

これはすごいですよね。

作者の松井優征さんは、生徒全員に思い入れがあったのでしょうね。

みんなに特技を持たせ、その能力を発揮する舞台を作っているのです。

そして、その能力は殺せんせーによって伸ばされるのです。

なんて素敵な師弟関係。

さて、生徒たちは期限である卒業式までに、殺せんせーを暗殺できるのか?

まだ読んでいないか方がいるならば、ぜひ読んでみてください。

感想(ネタバレ)

さて、この物語のメインストーリーは、地球を破壊する力を持っている殺せんせーを、生徒が暗殺するというものです。

しかし、殺せんせーは狙われながらも、生徒に愛を注ぎます。

様々な教訓を語りかけます。

殺せんせーが語る教訓。

それは見事に的を射ています。

作者の松井優征さんがあとがきで書いていましたが、これらの教訓は彼の人生経験の中で実感してきたものだそうです。

この記事を書いている現在(2016年7月26日)

相模原市の知的傷がい者施設で、痛ましい事件が起きました。

19人もの方達が、元職員の男に刺殺されたのです。

その時、わたしが読んでいた殺せんせーは、こう生徒達に語りかけていました。

「皆さん。先生からアドバイスをあげましょう。君達はこの先の人生で、強大な社会の流れに邪魔をされて、望んだ結果が出せない事が必ずあります。その時、社会に対して原因を求めてはいけません。社会を否定してはいけません。それは率直に言って時間の無駄です。そういう時は『世の中そんなもんだ』と、悔しい気持ちをなんとかやり過ごして下さい。やり過ごした後で考えるんです。社会の激流が自分を翻弄するならば、その中で自分はどうやって泳いでいくべきかを。(中略) やる気を持って、焦らず腐らず試行錯誤を繰り返せば、いつか必ず素晴らしい結果がついてきます」

この事件の犯人も、殺せんせーの言葉に触れていれば、行動は違ったのかもしれません。

さて、この物語の結末は、読み始めた瞬間にわかります。

生徒たちが殺せんせーを殺すのです。

結末がわかっている段階で、どうやって読者を飽きさせず、物語を盛り上げていくか。

この作品は週刊少年ジャンプで連載されていました。

ご存じのとおり、ジャンプはアンケート結果主義。

結果によっては、打ち切りになるのです。

それを乗り越え、松井さんが考える結末まで書ききっているのがすごいです。

そして、クライマックスの殺せんせーを生徒が殺すシーン。

様々な人々の思いが交錯します。

先生の代名詞である触手。

触手は『手で触れる』と書きます。

生徒の頭に触れてきた触手を、生徒みんなが手で押さえます。

烏間惟臣は、殺せんせーとの別れで、初めて「殺せんせー」と名前を呼びます。

潮田渚がネクタイごと心臓を貫くために、ナイフを持って殺せんせーの胸に乗ります。

殺せんせーは、最後に全員の出欠をとります。

まるでホームルームのようです。

そして、出欠も終わり、いざ心臓を貫く時、渚は恐怖に包まれます。

恐怖でやみくもにナイフを振り上げた時、触手が首筋に触れます。

「そんな気持ちで殺してはいけません。落ちついて笑顔で」

気持ちが落ち着いた渚は、笑顔になります。

「さようなら 殺せんせー」

「はい さようなら」

まるで、下校する生徒を見送る先生のような雰囲気です。

そして、ネクタイの傷にナイフを下ろすのです。

この傷は、殺せんせーの大切な人 雪村あぐりの命を奪った傷です。

こうなる事を望んで、傷を残していたのでしょうね。

もう涙です。

わたしも3年E組と共に、卒業したのです。

『魔界探偵 脳噛ネウロ』の時にも思いましたが、松井さんの作品には悪意が溢れています。

この作品にも、あちこちに悪意あふれるギャグが散りばめられています。

しかし、今回は悪意のその先を見せてくれました。

殺せんせーというキャラクターは、ブラックユーモアを繰り出しながらも、一本筋の通った愛を持っていました。

それはまさに松井さんの持つ世界観と人柄なのでしょうね。

あぁ、おもしろかった!!

そして、松井さんの次回作が楽しみです。

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