ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」を読みました。

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 – 少年ジャンプ+

感想(ネタバレなし)

昔から気にはなっていた作品でした。

そこで一気読みをしてみました。

おもしろい。

まず、『霊に罪を当てはめ罰する』というアイデアが素晴らしい。

これはなかなか思い付かないですよね。

普通、わたしたちは幽霊と同じ目線で立たないんですよ。

人間と幽霊は別物という考えがあるので。

それを作者の西義之さんは、同じ目線に立っていた。

西さんは、幽霊を身近に感じる環境があったのかな?

でないと幽霊に罪を当てはめるなんて無理ですよ。

人に憑いた霊に『人体無断寄生の罪』

背後霊に『無断背後浮遊の罪』

などなど。

よく文字を読んでみると「なるほど!!」と納得してしまいます。

そして、罪を犯した霊に罰を与えるために 『魔法律』という概念を考え出しています。

この罰がまたいい。

天国へ送るものもあれば、地獄へ送るものもある。

わたしがすごいと思ったのは『黄泉渡し』という罰です。

ゆっくりと罪をかえりみて、洗い流したら天国に行けるというものです。

懲役みたいなものですかね。

そしてキャラクターです。

天才魔法律家のムヒョと発展途上のロージー。

このキャラクター造形が抜群です。

ロージーは自分に自信がない少年です。

彼が、悩みながらも天才のムヒョに食らいついて、がんばる姿が感情移入できます。

やっぱり成長するキャラがいるといいですね。

一皮むけた瞬間、こちらも喜びを感じるのです。

感想(ネタバレ)

この作品は打ちきりになったようですね。

もったいないですね。

エンチュー編が唐突に終わってびっくりしました。

颯爽と出てきた箱舟も、みんな割とあっさりやられちゃいました。

多分、作者の西さんが協会のメンバーに思い入れをし過ぎ、どのキャラも殺したくなかったのでしょうね。

だから、箱舟の強さが今一つ伝わりませんでした。

バトルものは、ここにジレンマがあります。

そのキャラの強さは、比較でしか表現できません。

たとえばドラゴン・ボール。

この作品では、キャラが死ぬことで、その強さが伝わります。

ピッコロが死ぬことでナッパの強さがわかる。

セルがフリーザをあっさり殺すことで、さらに強い敵が現れたのがわかる。

(未来の世界の)孫悟飯が死ぬことで人造人間の強さがわかる。

やはり、強さを表すには、キャラを殺す事も大切なんですよね。

やりすぎると『強さのインフレ』が起こってしまうのですが・・・。

それが出来なかった分、この作品の寿命が縮んでしまった気がします。

しかし、エンチューとティキのラストには納得でした。

敵はティキであり、エンチューはみんなのもとに取り戻す対象でした。

そして、きちんとエンチューの罪に対して罰をあたえました。

そこがブレなかったのは、素晴らしかったです。

エンチュー編の後に始まったベクトール編。

この作品の『強さのインフレ』が、悪い形で出てしまいました。

最強であるムヒョが、眠りから覚めないというのです。

これは、ムヒョが強くなり過ぎたためにとった処置でしょう。

これまでは、ムヒョの魔法律で戦いに勝ってきました。

そのため、逆に言えば「ムヒョが魔法律を使ったら、戦いに勝って、終わってしまう」というねじれが起こってしまったのです。

だから、ムヒョを動けない状態にしたのです。

実際、起きたムヒョが魔法律「機賊王七酌撃ちの刑」で、ベクトールとの戦いは終わってしまいました。

ベクトールも九苦狸も、名もない協会の執行人を殺すだけで、主要キャラは誰も殺しませんでした。

だから、どれだけ強いのかが伝わりませんでした。

残念なのは、伏線がたくさん残ったまま、終了した事です。

消えたイサビ、フリオ、禁書はどうなったのか?

多分、アロロパシーも「2人をつなぐ何か」みたいな曖昧な決着にはしたくなかったと思います。

同じく、ムヒョについていた霊根も曖昧に。

そして、ペイジがイサビとの戦いで発動した『トロイのベル』

魔法律の新ルールで、肉体を使者に捧げることで、より強い力を得られるという。

これも結局、ペイジが悪魔長に肉体を持っていかれたくらいでした。

その後、彼はイサビに治療を受けて助かりました。

毒島春美は、魂を使って笹ノ葉梅吉(雲竜鼠)と契約していたし。

ムヒョに至っては、天才性が強すぎて、魂を使っているのかどうかもわからないくらいでした。

新ルールは、フワッと触れられなくなりました。

魔法律のマークまで変えたのに。

このトロイのベルも、初めの段階では、強力なラスボスにムヒョが体を失うほどの戦いをするという想定があったのでしょう。

しかし、そこまで話を続けられなかったのですね。

あと、気になっていたのは、ムヒョの目です。

彼の特徴は、戦闘中に黒目が小さくなります。

こんなシーンがありました。

トーマスとの戦いで、キリコが「(トーマスの目は)あんなの人間の目じゃないわ・・・」と言います。

そのすぐ後に、ムヒョは同じ目をしているのです。

これは、ムヒョの出生に関わる伏線かなと勝手に思っていました。

彼の生い立ちとかは全く話がなかったですし。

これだけたくさんの伏線が中途半端になってしまったのは残念ですね。

作者の西さんに続編をいつか書いてもらい、伏線を全て回収してもらいたいです。

ちなみに、最終話のはじめに出てきたリエは第1話の依頼人ですね。

ホームが舞台の話でした。

ホームを見るのも嫌がっていた彼女は、電車に乗れるくらいに回復したのですね。

キャラクターは、魅力的なものが多かったですね。

わたしが好きな使者は『霊激手』と『七面犬』です。

霊激手はあの顔がいいですね。

そして、小さいながらも強いところです。

七面犬は、あの小型化されてからの愛敬の良さがいいですね。

梅吉&七面犬VSミックはベストバウトでしたね。

あぁ、もったいない。

魔法律のアイデアは抜群なのに。

ムヒョとロージーもいいキャラなのに。

非情さと狂気が足りなかったのかな。

アシスタント時代から仲が良いという松井優征さんの『魔人探偵 脳噛ネウロ』には、狂気があるんですよね。

まず、事件に強烈な悪意が含まれていました。

そして、人気キャラだった笹塚衛志がシックスに殺されました。

その結果、この作品は最後まで描く事が出来ました。

今度は、西さんが非情さと狂気を持って、作品を作ってください。

そして、時がきたら『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』の続きを描いてほしいです。

読み終わった後、なんか悔しさが残っちゃった。

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