COPPELION

「COPPELION」を読みました。

COPPELION – ヤングマガジン公式サイト

感想(ネタバレなし)

「COPPELION」です。

ある事で有名になった作品ですね。

COPPELIONのあらすじは、地震によりお台場原発でメルトダウンが発生。

残留放射能により住めなくなった東京を、日本人は放棄するのです。

何かを連想しますよね?

2011年3月11日に発生した東日本大震災。

この地震により福島原発は事故を起こしました。

今でも福島原発の周辺は、人が立ち入るのも難しい状況になっています。

この災害をモデルに描いたマンガだと思うでしょう?

でも違います。

COPPELIONの連載が始まったのは2008年。

東日本大震災の3年前から描いていたのです。

その内容は、現在読むとリンクする部分もあり、考えさせられます。

しかし、この作品はあくまでもSFファンタジー。

この過酷な舞台をエンターテイメントにしています。

コッペリオン(COPPELION)とは、遺伝子操作で生まれた人間です。

体内で放射能を分解する事ができるため、人が入れない東京での活動が可能なのです。

コッペリオンは高校生であり、陸上自衛隊の特殊部隊扱いになっています。

3人1組で活動する事になっており、それぞれに係と任務が与えられています。

物語の中心にいるのは保健係。

メンバーは成瀬荊、深作葵、野村タエ子の女子高生3人組。

任務は、東京を捜索して生き残っている人々を発見したら、救助する事です。

そこで描かれるドラマが見所なのです。

感想(ネタバレ)

わたしはこの物語を読んでいる間、心の中に重い鉛のような辛さがありました。

それは、大人が起こした事故の後始末を高校生がやっているというやるせなさ。

体も心も傷つきながら。

第1部のラスト。

超人的な活躍をした成瀬。

彼女は、作戦が成功した後、泣きながら崩れ落ちます。

張っていた気持ちが切れたのでしょう。

いくら強くても、彼女はまだ18歳。

人の命を背負ったプレッシャーを負うには若すぎる。

しかし、彼女たちを頼らないと任務を遂行できないもどかしさがある。

それがわかっているから、三島鬼兵や井伏は常に彼女たちの味方でいたのですね。

さらに第2部。

このパートでは、保健係は梶井息吹という妊婦を含む生存者たちを脱出させる作戦を行います。

息吹の子供も無事生まれ、生存者たちは自衛隊の飛行機で運ばれていきます。

涙を流しながらその姿を見送る保健係。

そこで三島から衝撃の事実が。

コッペリオンは、遺伝子操作の段階で、子孫を残す能力を除かなければならなかった。

つまり、成瀬たちは子供を生めないのです。

原発事故の後始末のために作られ、さらに放射能に強い体にするため子供を生む力を失った。

なんて残酷な・・・。

もう心が痛い・・・。

第3部、第4部では様々な大人や国家の思惑が入ってきます。

それにふりまわされていくコッペリオンたち。

しかし、少しずつ彼女たちを取り巻く環境が変わっていきます。

「こんな若者ががんばっているのに自分たちは・・・」

周りの大人たちがコッペリオンの姿を見て気持ちを奮い立たせていくのです。

わたしが印象的だったのは夏目八郎総理大臣。

始めは支持率ばかりを気にするダメダメな奴だと思っていました。

しかし、彼はずっと罪悪感にとらわれていたのですね。

お台場原発のメルトダウンが起こった時に、東京を捨てて逃げてしまった。

国木田や陸上自衛隊第一師団を残して。

夏目は責任感が強い人だったのです。

責任感が強すぎるから、押し潰されてしまった。

国木田に赦しを得るシーンは感動的でした。

そして、主役の成瀬荊委員長。

わたしは、始めはただのくそ真面目ないい子ちゃんキャラだと思っていました。

いつも正しい事しか言わず、三島を信じ、国を信じ、人を信じている。

たぶんコッペリオンなら、第2部での小津歌音のような気持ちになるのが普通だと思うのです。

成瀬は反抗期のない子供のように感じていました。

さらに特殊能力についても。

コッペリオンにはそれぞれ特殊能力があります。

小津歌音には電撃

黒澤遥人には超再生能力

野村タエ子は超視力

深作葵にはサイコキネシス?

しかし、成瀬は運動能力が高いという能力・・・。

正直、他のコッペリオンの派手な能力と比べて見劣りします。

いつも傷だらけで、ボロボロにされます。

しかし、ハードな展開の物語の中、成瀬は突っ走ります。

そして、わたしは気付きました。

真っ暗なアクアラインの中で、松明をかざし先導する成瀬の姿。

あ、マリアンヌだ!!

「民衆を導く自由の女神」の絵画そのもの。

成瀬は、まさに民衆を導く自由の女神だったのです。

人々を引っ張っていく人物はぶれてはいけない。

方向を指し示し、ドーンと構えていないといけないのです。

彼女の真っ直ぐな折れない心。

それは誰も持っていない特殊能力でした。

そういえば、コッペリオンたちが最後に頼るのは成瀬でした。

彼女のぶれなくて真っ直ぐで折れない心はみんなの拠り所だったのです。

そんなボロボロの彼女をこの世界から解放する方法は、人間にしてやるしかなかったのでしょうね。

あと、この作品を書き上げた井上智則先生。

本当にお疲れ様でした。

東日本大震災が起こった事で、描くのはかなり難しくなったでしょう。

ボツにせざるを得ないストーリーや、表現もあったと思います。

それでも最後まで描ききったのは素晴らしい。

ただただ称賛しかありません。

ありがとうございました。

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